ごあいさつ

Message

  • 多様性に富んだ人材の活躍を支援し、
    アカデミアにおけるイノベーションの促進を

    日本医科大学

    学長 弦間 昭彦

    日本医科大学は、140年を超える歴史を歩んできた私立医科大学です。明治期より野口英世をはじめ、多彩な人材を送り出しました。日本で最初に女性の医学生を迎え入れ、明治・大正期には大勢の女性医師を輩出しました。近年、女性受験者、入学者は増加の一途にあり、35%程度の受験生、入学生の45%を女性が占める状況になっています。総じて優秀な成績を収めており、卒業後社会で活躍する医師・研究者として成長していただく環境づくりが本学の使命の一つと考えております。

    これまで、大学医学部の教員は、診療、教育、研究のすべて出来て一人前という考え方が根強く、必然的に長時間労働が出来る人でないと組織に残ることが出来ないという状況がありました。ライフイベントに直面した女性医師・研究者が先頭に立ってそれらをこなすのは非常に難しく、このため、優れた人材が機会を失うことが起こっていたと考えます。

    今、長時間労働の是正を目指した働き方改革の動きが出てきました。少子高齢化や労働人口の減少が進む中、女性医師・研究者を含め、様々な生活背景で長時間勤務が困難な人でも就業を継続しながら多彩なキャリアを構築できる環境づくりがいよいよ求められるようになってきました。

    私どもは、本事業を通じて多様性に富んだ人材が活躍するための研究環境づくりや教員評価制度の見直しを行い女性医師・研究者の活躍を促進してまいります。

    研究環境の整備では、本学のしあわせキャリア支援センターが窓口となって進めている研究支援員の配置、ならびに共同研究助成を進めていきます。家庭を持つ女性研究者にとって、育児や介護の制約を受けることなく研究が継続出来る環境が作られていくと思います。また、事業を共に進めている日本獣医生命科学大学・アンファー株式会社との学際的な新規研究の展開も期待されます。

    教員選考においては、診療、教育、研究のうち、一つか二つの領域で高い成果を上げれば評価する仕組みづくりを進めています。三つの領域すべてできる人だけが集まるよりも、高い専門性を有する多様な人材が含まれている方が、一人ひとりの才能を活かし、組織の質を高めると考えています。また、医学部で学生の教育を担う「教育担当講師」を増員します。女性の中には教育に優れた資質や経験を有している方も多く、指導層として活躍していただきたいと思います。これらの制度の活用により、優れた女性上位職が増えることを期待しております。

    今回のダイバーシティ研究環境実現イニシアティブは、日本医科大学、日本獣医生命科学大学、アンファー株式会社の三者で連携し、各専門分野や地域における女性医師・研究者の活躍を推進するものです。民間企業の変化は速い。一方で、大学のイノベーションは、しっかりと、しかし、ゆっくりと進みがちですが、それぞれの特性を知り合うのはとても有意義で、大学は企業から効率性を学び、企業に対して創造性を提供しながら、女性を中心に社会で活躍する多様なリーダーを育成してまいります。

  • 個が評価される喜びに満ちた研究環境づくりへ

    日本獣医生命科学大学

    学長 清水 一政

    日本獣医生命科学大学は、ダイバーシティを推進することをここに宣言いたします。

    私どもは、2017年度に男女共同参画推進委員会を設置して以来、「男女がともに気持ちよく仕事ができる環境の改善、向上」を推進するため、学校法人が設置する女性医師・研究者を支援する組織と連携しながら、教職員の意識調査アンケートの実施や啓発を目的とした講習会等を開催し、男女共同参画への本格的な取組みをスタートさせました。

    また、2018年1月に策定した中長期計画では、ビジョンの1つに「個が評価される喜びに満ちた大学」と定め、そのアクションプランとして「安心して働ける職場環境の整備」「男女共同参画の推進」を掲げました。具体的には、出産・育児・介護などに対する支援体制の充実やワーク・ライフ・バランスが保たれる環境の構築、それらを実現するための研究や業務のバックアップ体制の確立に向けた取組みを続けています。

    こうした取り組みを続ける中、2019年には男女共同参画推進委員会をダイバーシティ推進委員会と名称を改め、文部科学省技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」に採択されたことを機に、ダイバーシティ研究環境構築のための取組みをさらに加速させます。

    私は2019年10月より学長に就任し、就任にあたっての挨拶の中で、教職員が関係する様々な業務の効率化を図り、それによって生まれる時間を教員は十分に考える時間・環境に、職員はより創造的な企画提案に使えるようにしてほしいと呼びかけるとともに、働き方改革を推進し、「自分の時間を大切にする仕組みを構築したい」と述べました。

    令和という新しい時代の幕開けとともに、男女がともに気持ちよく仕事ができる環境の改善、向上を推進するとともに、自分のための時間を大切にできる仕組みを構築し、ワーク・ライフ・バランスに配慮しながら、その時間を研究に使えるような環境の構築を進めたいと考えております。

    多様性なしには変革は起こらないことから、まずは拠点づくりから開始します。それが「ダイバーシティ推進室」となります。ダイバーシティ推進室を中心に、女性教員や若手教員の研究環境の整備と向上、産学連携の促進及び女性研究者の積極的採用と上位者への登用促進、さらには連携機関とともに社会全体としてダイバーシティ環境の実現に向けて検討を重ね、実行して参ります。

    時代の変化や社会の要請に応え、ミッション・ステートメントに定めた「つなぐ大学」として、動物と人、都市と地方、多様な視点や発想をつなぐ研究環境の構築を推進し、ダイバーシティ社会の実現のために、私たち日本獣医生命科学大学はしっかりと歩みを進めます。

  • アカデミアとの連携事業で人生100年時代の「予防医学」をサポート

    アンファー株式会社

    代表取締役社長 三山 熊裕

    私どもアンファー株式会社は「いつまでも美しく、健やかに生きるというエイジングケア・ライフスタイルの実現を支援すること」を、創業以来の企業理念としております。これまでに、当社では、数多くの医師や臨床機関、研究機関と連携して、予防医学をベースとした各種サービス事業を手掛けており、約180の医薬品、医薬部外品、化粧品、食品を展開しています。

    私どもは、お客さまである女性の方々のニーズ等を含めたマーケティングデータを持っています。今回のイニシアティブを通じて、女性医師・研究者の皆さまと協力しながらこうしたデータを活かして共同研究を進め、日々の生活に取り入れていただける商品・サービスに結びつけることを目指していきます。

    また、私どもの社員構成は比較的若く、出産・育児休業に入る社員が増えていますが、復職率は100%を誇ります。在宅勤務や時短勤務などを通じた両立支援とともに、ライフイベントに直面しながらも新しい職務にチャレンジする人材を育成するなど、多様なキャリア構築をサポートしています。また、健康優良企業に認定された企業として、食事・運動・医療のそれぞれの面から社員に対して支援しています。

    このような企業体としての私どもの取り組みは、大学での多様な研究環境の実現において参考にしていただけることを願っております。

    人生100年時代と言われるようになり、「予防医学」がクローズアップされるようになってきました。こうした中で、より元気で長く働きたいすべての人たちのお役に立てるような企業になっていきたいと考えています。

  • 就業継続と成果創出への支援で、
    女性医師・研究者の上位職比率アップへ

    学校法人 日本医科大学
    しあわせキャリア支援センター

    センター長 土佐 眞美子

    私どもは2015年に「女性医師・研究者支援室」を設立して以来、女性医師・研究者の育児・介護等との両立支援と研究支援を行ってきました。さらに、女性のみならず多様なキャリア構築へのニーズに対応するため、2019年より「しあわせキャリア支援センター」に改組し、医師・研究者としての就業を継続しながら成果を創出できる人材の育成に本格的に乗り出しました。

    具体的にはまず、これまでも続けてきた育児等との両立支援をさらに強化し、就業の継続を後押しします。病児保育利用時の助成とともに、2021年に新病院オープン予定の日本医科大学武蔵小杉病院には病児保育施設を併設します。

    また、成果につながる研究を積極的に支援するために、育児・介護等のライフイベントに直面した女性医師・研究者に対して、研究補助を行う研究支援員を配置するとともに、今回のダイバーシティ研究環境実現イニシアティブを通じた日本医科大学、日本獣医生命科学大学、アンファー株式会社の三者による共同研究に対して助成を行っていきます。

    さらに、講演会やセミナー、ワークショップを通じて、女性医師・研究者のリーダーシップ育成にも取り組んで参ります。

    こうした一連の支援策によって、女性医師・研究者の上位職比率を着実にアップさせ、多様性に富んだ就業・研究環境を実現させながら、変化する社会の要請に応えるべく成果を創出して参りたいと考えています。

    少子高齢化の進展に伴い、一人でも多くの医師・研究者が就業・研究活動を継続することが求められる中、育児・介護等のライフイベントに直面しながらも働き続けられるチャンスは広がっています。困難にぶつかった時には、まずはぜひ私たちに相談してみて下さい。そして、「私はできる!」と思ってやってみて下さい。そのような皆さんを、私たちは大いに支援して参ります。

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