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細やかな声掛けで、支援制度の活用に伴走
ダイバーシティ推進委員会 委員長
しあわせキャリア支援センター 副センター長
日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科食品工学 教授 小竹佐知子 氏
本事業に日本医科大学とともに取り組む日本獣医生命科学大学でも、女性や若手研究者がライフイベントと研究・仕事を両立しながらリーダーとして活躍できるよう支援しています。日獣大ダイバーシティ推進委員会・委員長を務める小竹佐知子氏に、小規模な大学ならではのきめ細かい取り組みも含めた支援の現状と今後の展開について伺いました。(構成:木村麻紀/ジャーナリスト)
2025年10月20日インタビュー
上位職を増やすための業績づくりを支援
最終的な目標として、上位職の人数を増やすことに繋げなければなりませんので、業績づくりが非常に重要です。日獣大のほとんどの研究者は全員実験系で、実験室にいて自ら関わることがとても大切になります。プロトコルが出来上がった後は学生などに任せられますが、学生も就職活動で忙しいため、研究支援員の配置が効いています。
支援員は派遣会社を通じて確保しています。例えば、時短で早く帰る研究者は帰宅後にも支援員に実験を進めてもらうなど効果的な制度です。マッチングの際にはできることになっていたはずのことが実際にはできない、などの誤算が生じることもあり、信頼できる人が派遣員として来てくれることがカギになっています。最近は民間企業も含めて中途採用が活発化しており、支援員の人材プールの質を確保することの難しさにも直面しているところです。
研究助成も大事にしています。本事業では年間100万円規模を中心に、若手には20万円を支給。こうした規模の研究費を、自由に責任を持って運用することが、やがて科研費(若手枠3年間で約500万円)など大きいプロジェクトへ挑戦する力につながり、研究者の地位を高めることができます。
ただ、日獣大は女性研究者の数そのものが少ないため、このような制度があるから申請して下さいとお願いして申請してもらうこともあります。また、助成金を使い慣れておらず、資金を余らせてしまいそうな人には、あと1カ月間で使うように促すこともあります。今年からは、最初の段階から使って下さいとお伝えするようにしています。
英語論文投稿への資金支援と校閲支援も行っています。上位職の審査にも直結するので、良い取り組みだと思います。
一筋縄にいかなくてもやり続ける
ポストの公募に女性を優先しますと書くようになったことは、大きな変化です。私自身が人事の会議に出ていって、「(ポストに)女性はいますか?」と必ず聞くようになりました。ポストアップの教員は4人出て、このうち2人は昇進しました。あと2人に対してもきめ細かく伴走していきます。ただ、公募の対象となる領域によっては女性がそもそも少ない、またはいない場合があります。対象となるポストが女性ですべて埋まって初めて目標達成に近づくという状況ですが、少しずつでもやっていくしかありません。
また、こうした変化については、男性の方々の間で戸惑いや複雑な思いも一部にあることでしょう。女性採用の必要性については、ダイバーシティ委員長として、メール発信したり、呼びかけを行ったりしながら、理解と協力を得られるよう、雰囲気づくりに努めています。
さらに、いくら制度があっても子育てや介護に絡んで時間が取りにくいという話も聞こえてきます。介護の場合はお住いの地域が関わるので、勤務先の支援だけあっても、なかなか一筋縄にはいきません。男性でも支援を必要としている人がいるはずですので、ここは国レベルでの支援にも期待したいです。
変化を常識にするために

西洋社会と同じように女性上位職の登用目標値を設けての取り組みは、少しずつしか進んでいないかもしれませんが、5~6年後には変わってくると思います。その兆候はすでにあります。
以前、卒業生を講師に迎えて話してもらう場を設けました。卒業生たちの話を聞いていると、女性も転職しながら仕事を続けていくこと、子育てしながら仕事を続けていくことが当たり前になっていて、とても喜ばしく思いました。本当にさまざまな職種の方々がいて、研究者の人たちは修士過程で人生を左右するテーマや人との出会いがあったと話す人が多かったです。後輩の皆さんがこのような話が聞けるのはとても役に立つことなので、第2弾を企画しても良いかもしれませんね。
日獣大は人数が少ないので、数少ない女性研究者同士で助け合っていく環境の中で、女性リーダーとしてチャレンジしようとする人たちに対して、きめ細かい声がけや支援を行っていきたいです。